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社畜から無職にジョブチェンジしました


人撰御用の旅と平岡円四郎の死


 

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栄一は水戸藩に入ってから、常々、「国のため、水戸藩に志士を集めること」を提案していました。それを平岡は聞き入れ、栄一と喜作を関東に派遣して志士を集めるように命じます。しかし、その旅は栄一と喜作に衝撃を与えることになりました。

同士を集める

平岡円四郎に天下の志士を召し抱えるように提案します。現代で言うと、企業の採用活動の様なものです。栄一は「心当たりがあるから関東に派遣して欲しい」と平岡に頼みます。心当たりと言うのは、栄一が高崎城の挙兵計画の時に募った仲間のことです。更にもうひとつ、尾高長七郎が幕府によって投獄されているので、長七郎の救出も行う算段でした。

平岡は栄一の提案を受け入れ、「人撰御用(じんせんごよう)」という名目で栄一と渋沢喜作を関東に派遣することにしました。栄一と喜作が関東へ旅立つ当日、平岡は散策という名目で山科の蹴上まで先に向かい、そこの茶屋で二人を待ち、送別の昼食をもてなしました。これは異例の事で、当時、藩の重臣の立場の人間が、下っ端の家臣を送別するということはありませんでした。そのことから、平岡が栄一と喜作をとても気に入っていて、そして、かなり期待をしているということが伺えます。

 

関東での採用活動

江戸で志士を募る

栄一と喜作はまず江戸の千葉道場*1や、海保塾に向かいますが、そこにいた者たちは天狗党の乱*2に駆け付けた後でしたので、志士を募ることが出来ませんでした。それでも江戸で剣の腕が立つ者や、漢学を学んでいる者を十数人ばかり集めます。

そして、人を斬って投獄されている尾高長七郎を救出するために、一橋家という立場を利用して懇願しますが、なかなか事は上手くいきませんでした。しかし、栄一と喜作の長七郎に対する友情の深さを牢屋の役人が見ており、その友情に影響されてか、長七郎の牢屋での待遇はかなり改善されました。

 

平岡の死

この人選御用の旅の途中、栄一と喜作に恐ろしい知らせが飛び込んで来ます。なんと、平岡円四郎が暗殺されたのです。元治元年(1864年)6月16日、川村恵十郎と一緒に、一橋家の家老・渡辺孝綱の宿を訪ねた後、帰っている道中に、水戸藩の江幡広光と林忠五郎によって切られました。平岡と川村も応戦しますが、平岡は死に、川村も傷を負います*3

平岡が暗殺された理由は、尊王攘夷の土壌であった水戸藩士から、平岡が開国論者であったと見なされていたこと、そして、池田屋事件で尊王攘夷派の志士が暗殺されたのも、平岡の差し金であるという誤解でした。

栄一と喜作は、投獄寸前のところで平岡に拾ってもらった恩があり、相当ショックを受けます。

 

再び京都へ

平岡暗殺の報を聞いてショックを受ける栄一と喜作でしたが、それでも時間は待ってくれません。自分たちの役目を果たすために、一橋家の領地である武蔵・下総・下野を回り、農民40人余りを集めます。そういったところを回っていると、故郷である血洗島村の近くの岡部藩も通ることになります。ちょっと故郷に顔を出そうかと尾高新五郎(惇忠)の家に使者を出すと、新五郎は岡部藩の牢屋に入っていると返事がきました。

新五郎は水戸学の学者でもあったので、天狗党から誘いを受けていたのですが、そのことが原因で岡部藩の牢屋に入れられていたのです。しかも、栄一と喜作は岡部藩の謀反人扱いでしたので、栄一と喜作は帰郷を諦めます。

 

そして、9月ごろ、多くの志士を引き連れて京に戻ります。一橋家の用人筆頭であった平岡の後任には黒川嘉兵衛が就いていました。黒川は温厚な人物で、以前から栄一と喜作には目をかけていましたので、帰って来た彼らをねぎらいます。そして黒川は、

「君らは平岡が頼みであり、他に縁故も無いが、私が君たちの才能を延ばす様に取り計らう。集めて来てくれた志士は、まず君たちの意見を聞き、他の者たちと相談した上で、それぞれの仕事に就いてもらう予定だ。君たちは心配せず、これまで通り働いて欲しい。」

と言います。栄一と喜作は、黒川の心遣いを非常に感謝します。そして、栄一と喜作は、水戸藩の発展のために、更なる仕事をやってのけるのでした。

 

編集後記

平岡が暗殺され、ショックを受けても仕事を全うする栄一と喜作。命の恩人が暗殺されたらショックで立ち直れそうにない気もしますが、栄一と喜作はそれでも前に進むことを止めませんでした。このショックを乗り越えるには、二人にとって大きく非常に重い一歩でしたが、大きく飛躍する一歩にもなります。

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参考資料

第1巻(DK010021k)本文|デジタル版『渋沢栄一伝記資料』|渋沢栄一|公益財団法人渋沢栄一記念財団

第1巻(DK010022k)本文|デジタル版『渋沢栄一伝記資料』|渋沢栄一|公益財団法人渋沢栄一記念財団

第1巻(DK010023k)本文|デジタル版『渋沢栄一伝記資料』|渋沢栄一|公益財団法人渋沢栄一記念財団

『父 渋沢栄一』(実業之日本社文庫)

『渋沢栄一』(人物叢書)

2021年放送の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一。当サイトでは、放送されるエピソードの他、放送されないエピソードも執筆しています!是非、大河ドラマと合わせてお楽しみください!

*1:北辰一刀流の流祖である千葉周作が開いた道場で、千葉県にある道場ではない。

*2:水戸藩士の武田耕雲斎を首領とした天狗党が筑波山で起こした反乱。

*3:江幡と林も重傷を負って死んだ