京成3400形。京成ファンならご存知だと思いますが、かなり特異な車両です。ただの通勤形車両ではなく、間違いなく京成車両史の中でも大きな爪痕を残している車両だと思います。ある意味で。
京成3400形
京成3400形は1993年に登場し、1995年までに5編成40両が導入されました。見た目は1991年に登場した3700形と同じですが、3700形の様なステンレス車ではなく普通鋼にライトグレー系のアクティブシルバーを身に纏い、フューチャーレッドとヒューマンブルーの帯を入れています。行先表示の位置も、急行灯や尾灯の位置も同じなので、パッと見ると3700形の後継かな?派生車両かな?と言った風貌です。
しかし、この3400形さん、実は3700形よりも大先輩です。
足回りは初代AE形
3400形は登場年が1993年となっており、3700形よりも登場が後のため、3700形よりも若そうに思えますが、走行機器は初代AE形のものを流用しています。なので、実質の製造年は1972年~1978年となります。つまり見た目が似ている3700形よりも、実は3400形は大先輩なのです。足回りだけですが。
改造にあたっては、京急線内に入線出来るように、先頭を電動車に変更変更するなど、通勤車両としての再出発を考えて改造が施されています。尚、初代AE形では備わっていた定速走行機能(50km/h以上の場合)は無くなっています。
悲しきかな、初代AEの境遇
初代AE形は成田空港開港に合わせて1972年に製造したのに、成田空港の開港は、予定より6年以上遅れの1978年でした。仕方なく上野~京成成田(当時は成田スカイアクセス線が無いので京成本線経由)を1往復走るという、スカイライナー本来の役割を発揮できない状態が続きました。しかしこれは序の口です。
初代AE形は、橋梁に時限爆弾を仕掛けられたり、運行開始したと思えばほぼ運用に乗らずに放置されて車両が痛んだり、放火事件で燃やされたりと、それはもう散々な目にあっています。しかも、スカイライナーに乗ると成田空港に行けるかと思いきや、成田空港の近くまでしか行けず、成田空港に行くには路線バスに乗り換える必要があったため、今では大人気のスカイライナーも当時はガラガラでした。
とまあ、散々な目にあった初代AE形は、AE100形に役目を譲り、1993年までに運用離脱となりました。ただ、初代AE形の走行機器の劣化が少なく(そもそもまともに走ってない)、このまま全廃するにはもったいないと考えたのでしょう。走行機器を再利用し、車体部分を新造して通勤形の3400形が誕生しました。
見た目と車内は3700形
先述しましたが、見た目は3700形に非常に近いです。車体全体のベースカラーこそアクティブシルバーですが、フューチャーレッドとヒューマンブルーの帯を際立たせる配色になっており、3700形の兄弟みたいな風貌です。車内も、化粧板・床材などが3700形と同様です。そして乗務員室や運転台も3700形とほぼ同じ構成にしています。
ただ、3400形と3700形の車内が完全に同じと言うわけでは無く、3400形では、京成の通勤車両で初めて車椅子スペースを設置したり、電動車に主電動機点検蓋*1を付けたりしました。
そして性能は3600形
初代AEの機器を再利用し、見た目と車内を3700形に合わせたと言えば、スカイライナーと(当時の)最新車両の融合で、「これもう最強じゃね?」と言えますが、3400形の性能は3600形と同等でした。というのも、電動機が3600形とほぼ同じものだったのです。3400形と3600形の速度性能を比べてみます。
3400形 | 3600形 | |
営業最高速度 | 110 km/h | 105 km/h |
設計最高速度 | 130 km/h | 110 km/h |
起動加速度 | 3.3 km/h/s | 3.3 km/h/s |
減速度(常用) | 4.0 km/h/s | 4.0 km/h/s |
減速度(非常用) | 4.5 km/h/s | 4.5 km/h/s |
設計最高速度こそ3400形が130km/hというポテンシャルを秘めてますが、営業最高速度は大差がありません。起動加速度とブレーキ性能に至っては同じです。
ただし、ブレーキ装置は流用品で、3400形の場合、回生ブレーキで45km/hまで減速すると、停止まで空気ブレーキによる減速を行います。一般的な界磁チョッパ制御の場合は20~40km/h程度で回生ブレーキの打ち切りとなりますが、3400形は空気ブレーキでの制御が始まる速度が高いです。もし、空気ブレーキの制御開始速度が高くなると、雨天時は空転し、所定のブレーキ力不足に伴うオーバーランも発生にもつながります。
いったい3400形は何者なのか?
3400形は何者なのでしょうか?いや、紛れもなく3400形は3400形なのです。独自の道を貫いてしまった迷列車でもあります。初代AE形の引退が引き金となり誕生し、新造してデビューするまでに色々と取り入れてみた結果、なんかすごいのが生まれた!という感じです(語彙力)。
編集後記
3400形の運用範囲は広く、一時期は京急線内の三崎口まで走っていました。2020年現在は、京成本線・北総線・都営浅草線を走っており、京急本線は蒲田駅まで走っています。見かけることが多いのは、京成本線か都営浅草線だと思います。
歴史に翻弄された初代AE形が3400形へと生まれ変わり、気がついたら初代AE形登場から45年以上経過しているので、そろそろ引退なのではと。予想ですが、3100形の3155編成・3156編成が2021年に導入されるみたいなので、3050形が押し出されると、廃車候補として3400形の2編成が挙がってくるのではないかなと思います。
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*1:車内の床にある頑張ったら空けれそうな蓋。もちろん乗客は開けれない。