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【解説】『青天を衝け』第3回「栄一、仕事はじめ」(ネタバレあり)


 

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大河ドラマ『青天を衝け』、第3回「栄一、仕事はじめ」の解説です。一部、放送のネタバレを含みます。

【注意】放送後に内容を一部修正します。

はじめての江戸、そして出会い

1853年、栄一は父・市郎右衛門に連れられて江戸に行きます。もちろん、観光ではなく、紺屋の御用聞きに行きます。渋沢家は藍玉の製造と販売を行っていましたので、度々、上州(群馬)・信州(長野)などのお得意先に、「今年はどれくらい藍玉が必要か」などを聞いて回ります。現代で言うと営業みたいな感じです。

渋沢家の作る藍玉は上質なものが多かったのですが、当時、藍玉で質と値段が日本一だったのは阿波(徳島)のものでした。市郎右衛門の作る藍玉は立派なものでしたが、「阿波の藍にはまだまだ勝てない」という思いがあったため、日々、試行錯誤を繰り返していました。客先を回って仕入れ数を聞きつつ、藍玉の良し悪しなどの反応も調べていたそうです。

江戸についた栄一は、地元の血洗島村とは比べ物にならないくらいの町並み、人の多さに驚きます。栄一は「今日は祭りか?」と思うくらい、非常に活気がありました。江戸の光景を見た栄一は、

「この町は商いで出来ている!お武家様がまるで脇役だ!」

と素直な感想を述べます。しかし、それを聞いていた一人の武士が、

「聞き捨てならねえな、そこの小僧」

と言いました。市郎右衛門はマズいと思ったのか、栄一と共に逃げ出します。武士を蔑む様なことを言えば、最悪の場合、その場で斬られる時代ですからね。そして、この武士が誰かと言うと、後に栄一の運命を大きく変える平岡円四郎でした。

栄一は市郎右衛門が商売をする姿を初めて見ます。当時の江戸は、天下の台所・大坂に勝るとも劣らないマーケットでしたので、買い付ける商人たちも百戦錬磨の手練れです。神田紺屋町の商人たちは一番良い商品を扱いたいと考えていますので、阿波の藍を贔屓にしています。そのため、血洗島村の良い藍玉でも、なかなか買ってもらえません。商人たちに頭を下げる市郎右衛門を初めて見て、商売の難しさを感じるのでした。

 

黒船来航

混乱

1853年6月、日本史の中でもターニングポイントとなる大事件が起こります。マシュー・ペリー提督率いるアメリカ合衆国海軍東インド艦隊が日本にやって来ます。黒船来航です。黒船は黒煙を噴き上げながら大砲を装備していましたので、当時の人々は戦々恐々としていました。アメリカは日本との国交樹立のためにやって来たので、ペリーは将軍・徳川家慶にアメリカ合衆国大統領の国書を渡したいと求めます。

一方、幕府はどうすれば良いのかわかりません。国際外交なんてことは経験がありませんからね。そんな時、かねてから国防の強化を唱えていた徳川斉昭は、水戸藩が保有している大砲を幕府に献上します。大砲は非常に高価な武器でしたので、いくら親藩の水戸藩と言えども、そう簡単には手放せませんが、パフォーマンスではなく本気で日本の行く末を考えていたから出来た行動です。

黒船に恐怖していた江戸の民は、徳川斉昭が大砲を幕府に献上したことを聞くと、「さすがは水戸様だ」と噂します。しかし、徳川斉昭の息子・一橋慶喜(徳川慶喜)は疑問を感じていました。何故なら、斉昭が献上した大砲はアメリカのものと比べると旧式の大砲だったからです。

斉昭がわざと旧式の大砲を献上したわけでは無く、アメリカやヨーロッパなどの列強各国と比べて、軍備は古いものでした。オランダとは国交を結んでいた幕府ですが、オランダから最新鋭の武器を輸入できるわけでは無かったのです。

 

幕府の対応

日本人、もっと言えば日本の政治家はいつの時代になっても同じで、無能と断定されても何にも言えません。黒船来航の時も、「どうするか」と言う議論を繰り返していました*1。将軍・家慶は病で政治が出来る状態ではありませんでしたので、病床の中、慶喜の手を握りながら、「今後の対応は斉昭の力を借りるように」と命じます。

というわけで、まずは「国書の受け取り」だけ実行に移します。しかも「やむなし」という結論です。現代で言えば、書類を受け取るだけなのに、政府の中枢が話し合うという馬鹿げた話ですが、当時の日本では大真面目に考えられていたのです。

国書の内容は、国交の樹立と、開港して欲しいという内容です。アメリカは中国やインドへの進出を目論んでいましたので、日本を寄港地として、そこで水・食料・燃料などを調達出来るようにしたいと考えていました。幕府は、「将軍が病気なので今すぐ返事が出来ない」と延滞戦術を使います*2。ペリーも日本との国交樹立だけでなく、他の国にも行く必要があったので、「来年、また来るから返事聞かせてね」と言って、黒船来航から9日目で江戸を離れました。

 

開国すべきか

さて、黒船が去ってから10日後に、将軍・家慶が死去します。跡を継いで将軍になった徳川家祥(徳川家定)のもと、老中・阿部正弘が大名や幕臣までに江戸登城を命じ、開国すべきか、追い払うべきか、幕府がどう対応すべきか意見を求めました。加えて、正弘は隠居していた斉昭に海防参与の職で政治に復帰してもらいます。

それを伝えられた斉昭はとても悲願叶ったと感傷に浸ります。そこに、藤田東湖がやってきて、江戸に出回っている錦絵を斉昭に見せます。その錦絵には、斉昭が諸葛亮孔明に扮する絵が描かれていました。江戸の市民は、斉昭の事を三顧の礼にて幕府が迎えたと見立てて、希望を抱いていたのでした。

血洗島村の反応

浦賀沖に黒船がやってきて江戸が混乱した少し後に、血洗島村にも黒船来航の噂が伝わって来ます。「一大事だ~!黒船来たり~!」と喜作が叫んでみんなに瓦版を見せて伝えます。それを見た尾高長七郎は、その瓦版を持って兄の尾高新五郎(惇忠)のところに向かいます。

黒船の知らせを聞いた新五郎は、それを予見していた素振りでした。新五郎は、隣の清国が西洋列強にボコボコにされていることを知っていたのです。それでも、「人心を一つにして戦わねえと」と言って、日本がそんなことにならないように考えています。それを見聞きしていた妹の千代は、何が起こっているのかは分かりませんが、先行きが不安になるのでした。

 

高島秋帆との再会

栄一と喜作が黒船の話で盛り上がっていると、どうやら街道に人が集まっていたのです。何事かと思っていると、岡部藩の陣屋に捉えられていた罪人が、江戸に呼び戻される事になったと言うのです。

そんな話をしていると、岡部藩の役人一行が通りかかります。栄一たちは道の端に座って平伏していましたが、栄一がこっそりと見上げると、役人一行の中に知っている顔を見かけます。それは、栄一が幼い頃、喜作たちと「鬼」を見るために陣屋に忍び込み、そこで話をした男、高島秋帆でした。

高島秋帆は、長崎の砲術家として有名で、幕府からも重用されていましたが、幕府の保守派によって冤罪をかけられ、岡部藩に投獄されていたのです。アメリカの黒船が浦賀沖に現れた後、長崎に訪れたロシア艦隊*3からもアメリカと同じような要求をしてきます。この事態を重く見た老中・阿部正弘は、日本の海防を急務であると判断し、その施策の一つとして、砲術に秀でた高島秋帆を呼び寄せることにしたのです。

栄一は思わず「あ、あなたは」と言って身を乗り出します。

「このままでは、この国は終わると…誰かが、国を守らねばって…」

高島秋帆は思い出し、馬上から降りて栄一に話しかけます。高島秋帆は幼い栄一と話を交わした時、栄一が「俺が守ってやんべ、この国を」と言った言葉に支えられ、牢屋の中にいても何とかして生き延びていたのです*4。そして、高島秋帆は栄一に言います。

「私はこの先、残された時を、全て、この日の本のために尽くし、励みたいと思っている。お前も励めよ。」

 

初仕事

藍の葉が足りない

藍の葉を育てている畑で事件が起こります。大半の藍の葉が虫に食べられてしまったのです。市郎右衛門は無事な葉を急いで刈り取る様に言いつけ、市郎右衛門は信州や上州に藍の葉を買い付けに行くことにします。このままでは、今年作れる藍玉が少なくなり、生計が成り立ちません。これは渋沢家だけの問題ではなく、血洗島村全体の死活問題にもなります。

害虫問題もそうですが、年によっては日照りの関係や自然災害の影響によって不作になったりするため、市郎右衛門は一か所から藍の葉を仕入れるのではなく、複数ルートから藍の葉を仕入れていました。

さて、栄一はと言うと、自分も買い付けに行くと言います。しかし、市郎右衛門は栄一には「目ぇ利くもんが、良い藍葉勝って来ねえと、意味がねえ。子供の使いで出来ることじゃねえ」と言って一蹴します。

しかし、市郎右衛門が出かけた後、栄一は母に「俺にもきっと藍の良し悪しはわかる。小さい頃から、とっさまの買い付けをこの目で見てきた」と言って頼み、母から買い付け用のお金を貰います。

 

初めての目利き

栄一は信州に藍の葉の買い付けに行きますが、当然、子供だということで藍農家からは相手にされません。しかし、栄一はめげずに畑を見て回ります。市郎右衛門がやっている様に、藍の葉の状態を見て、育ちのよろしくない藍の葉について、育て方に問題があることを指摘します。

すると、指摘された藍農家は図星でした。そうしているうちに、その村の色んな藍農家がやってきて、栄一が藍の葉の目利きをします。

「厚みもあるし、色も濃くて綺麗だ。」

「これはちょっと欲しすぎだ。赤みが出ちまってる。」

「黄ばんでるってことは、水か肥やしが足りてねえ。」

こんな調子にどんどん目利きして行きます。ある農家に「〆粕はやんねえかい?」と聞くと、その農家は「〆粕は高くて…こっちのは買えんか?」と言います。〆粕を使わないと、どうしても藍の葉の出来が落ちるので、渋沢家で買い取ることは難しいのです。栄一はその農家に〆粕の値段を聞いて、〆粕を買えない農家の藍の葉を1両2分で買い取ります。

「1両あれば、来年は〆粕を十斗買ってもどうにかなるんだいな?そうしたら、もっと良い藍が、今年の倍は取れるわけだな?来年もまた、必ずうちに売ってくれるかい?」

そう言うと農家は喜び、来年も売ると約束しました。こうして、栄一は21件の農家から藍の葉を買い付けることが出来ました。

栄一は藍の葉買って村に帰りますが、市郎右衛門はそんなことを知りません。栄一は、約束を破って買い付けに行ったことを謝罪します。そして、せっかく買い付けて来た藍の葉なので、質を見てもらうことにします。市郎右衛門は念入りに藍の葉の状態を調べ、栄一にいくらで買ったかを聞きました。市郎右衛門は値段を聞くと、高いと指摘しますが、「良い肥やしを買って、来年良い藍を作ってくれたら、それで良い。よくやった。」と栄一を褒めました。

 

平岡、一橋家へ

平岡円四郎に一橋家への仕官話が入って来ました。職は慶喜の小姓です。慶喜の父・斉昭は、慶喜に直接モノを言える人材を、慶喜の傍に置いておくべきだという考えでしたので、斉昭が藤田東湖に命じて、小姓を探していました。その藤田東湖のアテが平岡円四郎です。平岡は断りますが、斉昭からのご指名ですので、いやいやながらも会うことになります。

 

関連記事

藍の葉の買い付けの話については、実際のエピソードとはちょっと違います。気になる方はこちらの記事もどうぞ!

www.stellacreate.com

第2回「栄一、踊る」の解説はこちら

www.stellacreate.com

関連リンク

大河ドラマ「青天を衝け」|NHKオンライン

あらすじ|大河ドラマ「青天を衝け」|NHKオンライン

参考資料

第1巻(DK010003k)本文|デジタル版『渋沢栄一伝記資料』|渋沢栄一|公益財団法人渋沢栄一記念財団

『父 渋沢栄一』(実業之日本社文庫)

2021年放送の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一。当サイトでは、放送されるエピソードの他、放送されないエピソードも執筆しています!是非、大河ドラマと合わせてお楽しみください!

*1:そして、議論が終わったら舞妓遊びに行くという。現代で言えば、国会終わったら高級クラブに直行するような感じ。

*2:一昔前に政治家の間で流行った、入院戦術と一緒ですね。

*3:ちなみに、ペテルブルグの近くにあるクロンシュタットから出港し、イギリスのポーツマス、アフリカ大陸の喜望峰を経由して日本に到達するという長い船旅。

*4:当時、牢屋に入れられると現代ほど衛生的によろしくなく、病気になって死んでしまうか、生きて出られても病気を抱えて衰弱している状態が多かった。