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【書評】近代鉄道史の勃興を学べる『渋沢栄一と鉄道』(一部ネタバレあり)

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2021年大河ドラマ『青天を衝け』の主人公でもある渋沢栄一は、実に様々な企業に関わっています。その中でも、現在の我々の生活に欠かせない鉄道の設立・経営にも尽力しており、その渋沢栄一と日本の鉄道黎明期にスポットを当てた『渋沢栄一と鉄道』が 2021年1月16日に発売されました。

今日の1冊

今回拝読したのは、『渋沢栄一と鉄道』という本です。

渋沢栄一と鉄道 (旅鉄Biz)

渋沢栄一と鉄道 (旅鉄Biz)

  • 作者:小川裕夫
  • 発売日: 2021/01/16
  • メディア: 単行本
 

時代は江戸末期。徳川昭武(最後の将軍・徳川慶喜の弟)に同行してパリに向かう道中、スエズからアレクサンドリアへ汽車に乗って移動しています。これが、渋沢栄一の初めての鉄道体験で、ここから本書の物語がスタートします。もし、渋沢栄一が、スエズからアレクサンドリアへ移動する際に汽車に乗っていなければ、日本の鉄道史も大きく変わっていたかもしれません。

 

渋沢栄一は帰国後に明治政府に出仕しますが、明治政府を辞去した後、第一国立銀行の総監役を皮切りに、生涯にわたって、近代日本の様々な分野の産業発展に尽くします。鉄道もその一つです。

 

本書の特徴

本書は、鉄道と渋沢栄一を1対1で結び付けずに話を展開するのが特徴です。鉄道事業に関わった人々や関連する事業、当時の国内外の情勢、官民の交錯する思惑など、江戸末期から昭和初期の歴史について、鉄道を軸にして様々な切り口から追いかけるという流れです。「ガラス事業やレンガ事業が鉄道にとっていかに重要だったか」「大阪の鉄道事業に進出する切っ掛けが紡績業だったのは何故か」など、「個別に見ると繋がっていないようで、横断的に見ると繋がっている」という話の展開が本書には見られます。

各章のサマリ

本書の目次は以下の様になっています。

  • 第1章:渋沢栄一の鉄道体験
  • 第2章:渋沢栄一と鉄道開業
  • 第3章:渋沢栄一と日本鉄道
  • 第4章:渋沢栄一と大阪の鉄道
  • 第5章:渋沢栄一と東京駅
  • 第6章:渋沢栄一と東急電鉄
  • 第7章:渋沢栄一と鉄道旅行

それぞれかいつまんで紹介します。

第1章:渋沢栄一の鉄道体験

渋沢栄一が万博のためにパリに向かう途中、そしてパリ万博後に徳川昭武の欧州遊学に向かう途中に鉄道を利用します。その中で、鉄道の必要性を感じ、帰国後に民間資本での鉄道事業に注力する切っ掛けが描かれています。

第2章:渋沢栄一と鉄道開業

渋沢栄一が帰国してから明治政府で勤めている頃のお話。明治政府は鉄道開業にこぎつけます。ここで渋沢栄一が鉄道開業の中心になるわけではありませんが、今では当たり前になっている窓ガラス、そして、明治以降の近代駅舎で欠かせないレンガに関して、渋沢栄一が尽力しています。

第3章:渋沢栄一の日本鉄道

渋沢栄一が明治政府を辞めて民間に進出する頃のお話。色々な事業に幅広く目を通しながら、日本国内の産業発展のために尽力する渋沢栄一の起業家草創期の時代です。本書の展開では、銀行設立と製紙会社設立で渋沢栄一の資本基盤や人脈を固めた後、近代日本の物流の根幹となる鉄道会社設立に向かいますが、そう簡単に一筋縄ではいきません。明治政府の思惑や、官民の軋轢、資金集めなどで、前途多難の出発となります。

 

第4章:渋沢栄一と大阪の鉄道

今度は大阪の事業進出のお話。渋沢栄一が初めて大阪の鉄道設立に携わったのは、大阪港から大阪駅までの貨物線である西成鉄道(大阪駅~安治川口駅)でした。今のJR西日本の大阪環状線とJR桜島線です。

大阪の鉄道の前に、富岡製糸場の立ち上げに携わっていた渋沢栄一は三重の四日市と大阪の紡績業の支援に乗り出します。この時期の渋沢栄一が他の実業家とは異なるポイントとしては、自身の見識をはじめとして、持っているものを惜しみなく提供し、東京を中心とした関東だけでなく、日本産業全体の発展に尽力しています。その理念があり、行動したからこそ、西成鉄道をはじめ、京阪電鉄などの大阪の鉄道設立に際して、関西の実業家が出資したことが伺えます。

第5章:渋沢栄一と東京駅

今や日本の大動脈であるJR東日本の各主要路線、そして新幹線のターミナル駅として活躍する東京駅。設立までの複雑な経緯の解説が本章で見られます。

渋沢栄一が全く関わっていないというわけではありませんが、深くかかわったわけでもありません。かいつまんで言うと、東京駅をデザインした辰野金吾が渋沢栄一と繋がりがあったというところでしょうか。

第6章:渋沢栄一と東急電鉄

渋沢栄一が晩年に手掛けた田園都市事業の話です。田園都市事業は東急の源流となりますが、渋沢栄一は事業設立のプロであっても、鉄道事業運営のノウハウが無いために、阪急の小林一三を口説いて参画させていることは有名ですが、そもそもの田園都市構想の発端なども本書で垣間見ることが出来ます。

第7章:渋沢栄一と鉄道旅行

渋沢栄一の鉄道旅行が記されているわけではなく、どうやって鉄道の旅客需要を創出するかというお話。通勤輸送・貨物輸送が主たる目的だった鉄道に、「旅」という目的のためにも利用してもらおうという発想のもと、喜賓会を設立し、観光地を紹介します。今では当たり前のことですが、明治の日本では観光というのは一般的ではありませんでした。外国では観光業が一般的になっていたので、それを取り入れ、鉄道と結びつけることで、新たな価値を鉄道に付加します。

 

編集後記

個人的な見解ですが、近代日本の歴史的な知識が無くても、鉄道好きであれば楽しめる内容になっていると思います。また、鉄道の知識が無くても近代日本史の知識がある人は、新たな発見になるかもしれません。

補足

※あくまでも個人的な意見です。

本書に関して、ページ数の都合上、出来事に対して渋沢栄一がどう関わっていたか、という部分にフォーカスが当たっているため、渋沢栄一がどのように会社経営に携わっていたのかという部分は見えづらいかなと思います。

ざっくり言うと、渋沢栄一は起業時に出資者を募り、優秀な経営者を据えて、会社がピンチの時に本領発揮というスタンスです。中には、指名した経営者が結果としてイマイチな人*1もいたので、その事後処理に追われたりするなどもありました。また、自らが起業しなくても、事業設立の際に経営層として招聘されてアドバイスするということも多々ありました。

あくまでも個人的な意見ですが、渋沢栄一がどうやって会社に関わっていたのか、基本的な事例を挙げて、そこにピンチの時に乗り切ったエピソードを添える。そして、鉄道事業ではどうだったか、という部分を深掘りするという展開も面白いのではないかと思います(次回作、お待ちしています)。

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*1:学者としては優秀な尾高惇忠に第一国立銀行の盛岡支店を任せるが、尾高惇忠が無担保で融資して焦げ付き騒ぎを起こしてしまうなど。