2019年9月5日に発生した京急神奈川新町駅の第1踏切で発生したトラック衝突及び脱線事故から1年が経過しました。
鉄道コンテンツを扱ってるYouTuberさんやブロガーさんは、事故発生当時に、まるで事故を利用するかの様に大々的に取り上げ、散々煽り、動画の再生数やブログのアクセス数を稼いでる様に見えました。荒唐無稽な独自検証を披露する人もいましたが、その後の動向に関しては一切触れてない人が非常に多く、鉄道コンテンツ界隈はハゲタカもびっくりな行動を取るYouTuberやブロガーが多いと言う印象です。
事故について、運輸安全委員会の調査は未だ調査中となっていますが、京急公式では安全報告書の中に、列車事故についての記載があります。
京急神奈川新町駅の脱線事故(サマリ)
ニュースで散々取り上げられたと思いますので簡単に。
2019年9月5日11時43分ごろ、神奈川新町駅の第1踏切に入ったトラックと列車(快特)が衝突し、列車の1両目から3両目が脱線しました。衝突時にトラック運転士は車外に投げ出されて帰らぬ人に、乗員乗客は37名が負傷し、トラックから漏れた燃料が引火して一部炎上するなど事故の被害は大きく、数日は脱線事故の事を報道各社が偏見を入れながら取り上げていました。
9月7日13時13分に全線復旧しましたが、復旧まで、直通先の都営浅草線や京成線にも影響を及ぼし、10月28日からのモーニング・ウィング号は12月2日まで運休、1000形1137編成は廃車になるなど、事故の余波は決して小さくないものでした。
詳しく知りたい方はご自身で調べて下さい。
2020年度安全報告書
2020年6月に京急は安全報告書をリリースしています。PDFのファイルサイズが28.5MBなので、スマホからダウンロードする人は注意して下さい。
もちろん、事故を取り上げたYouTuberさんやブロガーさんたちは読んでいると思います。まさか読んでないとか、そんなことないですよね?時間が経つと数字稼げないからとか、完全に忘れてて見てないとか、人間性を疑うようなことはしてないですよね?
話が逸れました。本題に入ります。京急としても、事故発生の再発防止に取り組んでいます。その内容が2020年の安全報告書の35ページに、緊急再発防止策として記載されています。
運転士作業基準の見直し
発光信号機現示時のブレーキ操作について,従来の「発光信号現示があったときは,すみやかに停止すること。」から「発光信号の現示があったときは直ちに非常ブレーキを使用して停止すること。視認した発光信号機の外方に確実に停止できる場合のみ,常用ブレーキの使用も可とする。」に変更しました。
―鉄道安全報告書2020 35ページより引用
書いている通りですが、事故発生前までは、非常ブレーキを扱うと車内の乗客が転倒し負傷することが考えられるので、 直ちに非常ブレーキを扱う指導をしていなかったとのことです。「すみやかに」から「非常ブレーキを使用して停止」としているので、明確な対策になっていると言えるでしょう。
発光信号機の見通し距離調査を実施
発光信号機の設置ルールを余裕を持った距離に変更しました。
―鉄道安全報告書2020 35ページより引用
発行信号機の位置を少し手前にしたということです。踏切から発せられた発行信号機の位置が踏切から離れていれば、停止までの余裕が生まれ、踏切での衝突事故を防げる可能性は高くなります。これも対策として明確なものになっているでしょう。
発光信号機の増設
発光信号機の見通し距離調査を実施し,視認性を向上させるため,増設しました。
―鉄道安全報告書2020 35ページより引用
発行信号機の設置距離とのセットの対策と言えます。暫定的に京急が出来ることはここまでだと思います。
「大型自動車に対する交通規制」を要望
事故の一つの要因と考えられる大型自動車が踏切で右左折しにくい側道について,関係機関に対し「大型自動車に対する交通規制」を要望しました。
―鉄道安全報告書2020 35ページより引用
これについては京急だけではどうしようもありません。神奈川県警に要請して交通規制を設けてもらい、大型自動車が踏切に入って立往生することを未然に防ぐことをしてもらわない限り、事故は再発してしまいます。神奈川新町だけでなく、事故発生が考えられる踏切に対して、交通規制が必要でしょう。
運輸安全委員会の調査状況
2020年9月現在、運輸安全委員会による調査は「調査中」となっています。
「1年経過してまだ分からないのか」と言う人がいますが、そんなものです。鉄道の事故調査は時間がかかります。ただ、1年経過した2020年9月末に何かしらの発表があるかもしれません。
編集後記
恒久対応については運輸安全委員会の調査結果を受けてからになるでしょう。当ブログでは対策案を垂れ流すみたいな行為は行わないので、そう言うのが好きな方は探してみてはどうでしょうか?まあ、滑稽な独自検証に基づいた対策案しか見つからないと思いますが。
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