京急は伝統的に2ドアクロスシート車両を世の中に送り出しています。現役の2100形はもちろん、京急では初のブルーリボン賞を受賞した2000形、京急初の高性能電車である初代700形、戦後の復興期に登場した500形など、古株の京急ファンなら2ドアクロスシート車両が京急の伝統であることは一目瞭然と思います。
さて、京急の特急専用車両は2ドアクロスシートの伝統を守り続けていますが、2100形が役目を終えて次の2ドアクロスシートが作られるのか、はたまた、新しい形の特急専用車が出てくるのかを考えて見ます。
京急2ドアクロスシート車両の役割
京急は伝統的に2ドアクロスシート車両として製造しています。現役の2100形は2ドアクロスシート車両の先輩である2000形の後継車両として製造されました。製造時期は1998年~2000年で、鉄道各社が、とにかく輸送力アップのためにドアを増やしたり、1編成あたりの車両数を増やしたりと躍起になっていた時期でもあります。そんな中で2ドアクロスシートの新車が登場というのは、ある意味、時代に一石を投じたものでした。
京急としても品川・横浜と三浦半島方面のレジャー需要に対応するために2ドアクロスシート車両を継続して新造しており、2100形は結果的に伝統を守った(続けた)格好になっています。
また、久里浜や横須賀からの長距離通勤客にクロスシートでゆっくりとくつろいで欲しいという狙いもあります。このクロスシート車両を使用したウィング号の有料着席サービスも存在します。
京急2100形の後継車両を考える
さて、2100形の後継車両が2ドアクロスシート車両なのか、それとも違うのかを考えたいと思います。私が考えている後継車両のパターンとしては、
- 2ドアクロスシート車両
- 3ドアクロスシート車両
のどちらかになると思います。
2ドアクロスシート車両を作り続ける場合
純粋に伝統を守り続けるパターンです。ただし、2ドアクロスシート車のままだとデメリットが残り続けます。都営浅草線に入れないというデメリットです。
2100形は2ドアクロスシート車両のため、泉岳寺までは入れますが、浅草線の乗り入れ規定である3ドアをクリアできていません。特例として、2019年1月1日の初日1号だけは都営浅草線の浅草橋駅始発になっています。これが2100形の都営浅草線内における唯一の旅客営業です。都営浅草線に入れないということは、京成線にも入れません。2100形の性能的には成田スカイアクセス線にも入れるので、後継車両を2ドアクロスシート車両を作ると、2100形同様に性能を持て余すことになります。
つまり、2100形の後継として2ドアクロスシート車両を製造するのであれば、現在の2100形の置き換えとなって、運用が限定されたままになります。
3ドアクロスシート車両を新たに作る場合
次に、2ドアクロスシート車両をやめて、3ドアクロスシート車両を製造する場合です。実は前例があります。阪急6300系から阪急9300系への置き換えです。
端的に話しますと、阪急6300系も2ドアクロスシート車両でしたが、クロスシート車両の定めである、
- 定員数の問題(輸送力が落ちるため後続の列車が混雑して遅延が発生)
- 2ドア車特有の出入り口混雑に伴うドア開閉時間が長い
が遅延の要因になるなどの問題があったため、阪急9300系に置き換えられました(もう少し色々ありますが省略)。それによって、6300系が引き起こしていたようなラッシュ時の遅延だったりが減ったみたいです。
では、京急2100形の後継を3ドアクロスシート車両にすれば、都営浅草線や京成線に入れるから良いのでは?と思いますが、ところがどっこい、阪急とは事情が違います。それは空港利用客の存在です。
空港利用客は荷物が大きい
空港利用客の存在がネックになる理由としては、空港利用客は荷物が大きいことです。特に、羽田空港の利用者は大きなスーツケースをゴロゴロと引っ張っているので、そもそもクロスシート車両と相性が良くありません。東京モノレールを利用した経験がある方なら分かりますが、東京モノレールの車両は荷物置き場があります。もちろん、空港利用客を想定しているからです。
空港利用客を想定した車両
尚、空港利用客を想定したクロスシート車両は存在します。JR西日本223系0番台・2500番台と225系5000番台です。空港利用客の大きな荷物を想定して、クロスシートの配置が1列+2列になっています。
「じゃあ2100形の後継も1列+2列にしよう!」と簡単に言い切れないのが京急の悩みどころです。京急2000形・2100形はレジャー需要に対応するために作られているからです。レジャー目的の2列+2列シートであるのに、空港利用客を想定した1列+2列シートにすると、それはそれで着席数が減ります。また、ウィング号の着席定員数も減るため、クロスシートでゆっくりとくつろいで通勤できる乗客が減ります。もちろん、ウィング号の収入も減少するでしょう。
ここまで考慮すると全てをカバーは難しいです。なので、空港線にクロスシート車両を入れないという選択肢もあります。空港線の運用を外すと言うのであれば、無理に空港利用客を想定しなくても良いわけです。そうすると、成田スカイアクセス線の運用も外れる可能性が高く、何のために京成線まで乗り入れてきたんだ?ということになりかねないのですが…。
2ドア・3ドアどっちがいいの!?
あくまでも本記事は京急2100形の後継車両を考える、というテーマなので、結論としては「コレ!」と言うのが難しいです。2ドア・3ドアとも一長一短です。みなさんはどっちが良いと思いますかね?
個人的には3ドアクロスシート車両の2列+2列仕様と1列+2列仕様を半分ずつ製造するのが落としどころと考えています。鉄道趣味的には2ドアクロスシート車両があるとロマンを感じますが、実際の運用状況として、ラッシュ時に遅延の要因になり、京急線内でしか扱えないのは悩みの種どころじゃないと思います。
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