Web
Analytics

社畜ゲートウェイ

京成・京急を中心に取り上げる阪急ファンのブログです。日本一遅い速報を届けます。


京とれいんが特別料金を取らない理由

【スポンサーリンク】

f:id:neko_britannia:20201227160331j:plain

阪急唯一の観光特急である「京とれいん」。6300系の「京とれいん」と7000系の「京とれいん雅洛」の2種類が6両編成で運用に就いており、車内は京都の趣のあるコンセプトに仕上がっています。

この京とれいん、阪急以外の鉄道会社であれば予約&特別料金が必要なレベルのクオリティですが、阪急では予約も特別料金も不要という大盤振る舞いです。阪急らしいと言えば阪急らしいですが、実は特別料金を取れないという、大人の事情も絡んでいます。

特別料金無しで乗車可能な京とれいん

京とれいんは2011年3月19日に、6300系改造車で運行開始しました。2019年3月23日には7000系改造車が京とれいん雅楽として運行を開始しています。土休日のみの定期運行で、京とれいんは快速特急、京とれいん雅楽は快速特急Aとして運行しています。

列車名 車両 種別 運行本数
京とれいん 6300系6354F改造車 快速特急A
(十三通過)
1日3往復
京とれいん雅楽 7000系7006F改造車 快速特急
(客扱い無しの十三停車)
1日4往復

阪急で唯一の観光列車ですが、予約・特別料金が不要で、普通運賃のみで誰でも乗車可能です。京とれいんは6300系の様相を残しつつ、車内は京都の町屋のデザインになっています。京とれいん雅楽は、「ご乗車されたときから京都気分」というコンセプトのもと、今までの阪急車両とは一線を画す内観になっています。

京とれいん雅楽の内観については椿ティドットコム様が詳細に撮影されているので、是非ご覧になってみてください。

tsubakit.com

さて、特別料金無しで乗車可能な豪華絢爛な京とれいんですが、特別料金を取らない理由と、特別料金を取れない理由が存在します。

 

特別料金を取らない理由

阪急のポリシー

一般的な観光列車、特別料金を支払って乗車する、と言った手続きを行う必要があります。券売機・予約サイト・窓口などで特急券や指定席券を購入して、初めて乗車可能というのは、観光列車を運行する鉄道会社であればどこでも行っています。

一方、京とれいんは特別料金が不要で乗車可能です。指定席もありませんので、乗車運賃を支払えば誰でも乗車可能です。豪華な京とれいんでそんなことをするのかというと、その理由は「お客様に優劣をつけない」という阪急のポリシーに基づくからです。

 

ポリシーの源

1956年2月2日に阪急宝塚線で発生した庄内事件まで遡ります。車両故障に対する阪急の対応がよろしくなかったことが直接的な原因ですが、潜在的な原因は「何で宝塚線の車両だけいつも遅れてるねん!車両もボロいし!どないなっとんねん!」という乗客の日ごろの不満でした。

簡単に言うと、当時の宝塚線の車両は、神戸線や京都線の車両に比べて、輸送力や居住性が劣っていました(阪急の車両で居住性が劣っていたとなると、他の電車に乗れないのでは?と思いますが)。宝塚線の車両は神戸線や京都線に比べると、小型で編成あたりの車両数も少なく、戦後の復興の中で沿線利用客が増えている状態でしたので、必然的に満員になり、遅延も発生していました。

そんな中で発生した庄内事件は、阪急宝塚線の改善につながります。当時の経営陣が乗客の潜在的な不満を理解し、神戸線や京都線と同じように新車も投入するようになりました((新車導入の差異は、神戸線と宝塚線で同時、もしくは交互に導入する様になっている。庄内事件をきっかけに、「お客様に優劣をつけない」というポリシーを守り続け、そのポリシーの延長線上に京とれいんが特別料金不要ということにもつながっています。

 

特別料金を取れない理由

さて、ここからは現実的な大人のお話です。特別料金無しの京とれいんは、ポリシーがあるからこそ特別料金を取らない様に聞こえます。しかしそれだけではありません。端的に言ってしまうと、投資に対しての回収が難しいという理由です。

 

投資に対しての回収

システム導入費用

特別料金を取るとなると、まずは特別料金に対応するためのシステムを導入する必要があります。阪急は特別料金を扱っていませんので、システム改修ではありません。ゼロから開発する必要があります。となると、莫大なお金が必要になり、その費用を回収する必要があります。

特別料金を支払う手段としては、券売機・窓口・電話予約・インターネット予約などが挙げられます。券売機・窓口を設置する場合、設備を用意する必要もありますし、窓口に至っては案内の人員も割く必要があります(しかも土日だけ)。電話予約のオペレーターも必要となりますし、土日しか使わないインターネット予約のシステムのランニングコストもかさんできます。

 

アテンダント費用

特別料金、特に指定席券を扱う場合、アテンダントによる乗客のチェックが必要になります。乗客が特別料金を支払ったかどうかを確認するためです。性善説で運用を任せると特別料金を支払っていないのに乗車するケースが高確率で発生します。それを回避するためのアテンダントです。

特別料金の支払い方法を券売機や窓口に限定して、磁気や紙のチケットだけであれば、アテンダントさんの目検チェックのみで良いのですが、インターネット予約でQRコード対応を導入してしまうと、アテンダントさんが専用の読み取り機器を用いてチェックする必要があるので、機器コストも発生します。

 

回収見込み

肝心の回収見込みは?と言うと、運行頻度の少なさがネックになります。運行は土休日のみで、京とれいんは1日3往復、京都とれいん雅楽は1日4往復です。お手頃な値段の特別料金を設定しても、費用を回収するのは難しいです。となると、超高額な値段を設定して費用回収する方法もありますが、設定した値段と付加価値が乖離してしまった場合、ブランディングの観点で大やけどする可能性があります。まあ、色んな意味で話題性は生まれるかもしれませんが、阪急としてはマイナスイメージは避けたいところ。

特別料金導入による投資を実施しても、運行頻度が少ないことによる回収見込みが立たないと考え、それだったら最初から無料にして話題性を呼んで、京都への観光客増を目指そうという戦略に切り替えたのでしょう。

 

京急や京阪の例

特別料金が不要な特急と、特別料金が必要な特急を同時に運行している例として、京急のウィング号と京阪のプレミアムカーがあります。この2社は特別料金を設定することで、特別料金を扱うシステム導入費用の回収が可能という戦略目標に基づいています。

 

京急のウィング号

京急は快特・特急といった速達種別は基本的には特別料金が不要ですが、ウィング号は特別料金が必要です。京急のウィング号の場合、平日の朝夕ラッシュ時に決められた本数が運行されています。ウィングチケット券売機かインターネットで予約して特別料金を支払って乗車します。ウィング号のために特別な車両を製造しておらず、日中にも爆速している2100形がウィング号の運用に就いています。車両の新造や改造が発生していませんので、車両に対しての費用は発生しませんし、平日の朝夕ラッシュで回収可能という見込みがあります。ウィング・シートの回収見込み?それは知らないままで良いかもしれませんね。

 

京阪のプレミアムカー

京阪の場合、特急そのものに乗車するための特別料金は発生しませんが、プレミアムカーは窓口でプレミアムカー券を購入するか、インターネットの事前予約が必要で、特別料金が発生します。車両は1編成の中で6号車がプレミアムカーに該当します。プレミアムカーは特急に組み込まれており、平日・土休日の両方でずっと走っています。6号車のプレミアムカー自体にお金はかかってますが、運行頻度が多いので費用の回収は可能という見込みがあります。

 

編集後記

理想と現実の二面性を持っている車両の代表例とも言える京とれいん。車両をもっと増やして欲しいという声もありますが、そうなるとダイヤの改正も必要になりますし、運航が土休日のみの専用車両は作れば作るほど赤字になりますので、希少性を保ったまま、現在の運行形態がベストなのかもしれません。

Twitterフォローもよろしくお願いします^^

鉄道ネタやブログ運営等をつぶやいてます。

関連記事

www.stellacreate.com

www.stellacreate.com

本ブログの鉄道コム投稿記事はコチラ

鉄道コム投稿記事一覧ページ

最近の鉄道情報

 

今後1週間の鉄道イベント(鉄道コムより)