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社畜ゲートウェイ

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【書評】『物語 カタルーニャの歴史』がドラマチックだった

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『物語 カタルーニャの歴史 増補版 知られざる地中海帝国の興亡』(中公新書)

独立運動で日本でも有名になったカタルーニャ。でもカタルーニャって何?どこにあるの?何があるの?という人が多いと思います。

今日の1冊

今日は『物語 カタルーニャの歴史 増補版 知られざる地中海帝国の興亡』(中公新書)

元々、2000年に登場した本ですが、じわじわと伸びてきて、2019年に増補版を出したとのこと。

初版の前書きも面白いですが、増補版の前書きも、初版からの移り変わりが記されており、本自体の歴史も前書きで楽しめます。著者の言い回しも面白く、歴史に詳しくない人でも読みやすい本だと思います。

ただ、歴史概説や歴史概論系の書籍では無く、物語として内容を展開している書籍なので、ガチガチの歴史を知りたいという人は、どうぞラテン語やカタルーニャ語を勉強して一次資料を読んで下さいと言いたいです。著者も本書内で述べていますが、著者はカタルーニャ文化研究者です。歴史をそこそこ真面目に学んでいた私が恐縮ながら意見させてもらうと、確かに歴史書ではなく、歴史小説風と言った方が適切かもしれません。しかし、それはそれで面白いやん!と思えます。

 

サクッと紹介

本書は、カタルーニャの成立前から、現代カタルーニャ、そして独立運動までを広く浅く書かれています。特に注力しているのが、中世カタルーニャです。本書でも紹介されていますが、カタルーニャ人は中世カタルーニャの歴史を好むことが多いそうで、その理由として、カタルーニャの中世は劇場さながらとのことで、中世カタルーニャを中心に取り上げられています。数多くの個性的な君主や君主一族、敵対勢力との争いの中で数々の勝利を収めるカタルーニャを知れば、現代のカタルーニャ人が中世カタルーニャに思いを馳せるのは頷けます。

 

とても魅力的な中世カタルーニャ

中世カタルーニャの中でも魅力的なのが征服王ジャウマ1世(ハイメ1世)です。父のペラ2世(ペドロ2世)に人質としてシモン・ド・モンフォールに差し出された挙句、ペラ2世が戦死して不要になるかと思いきや、教皇インノケンティウス3世の介入によって人質から解放され、テンプル騎士団の中で王として、騎士として育てられます。成人して狡猾さが出て来るようになり、版図の拡大を行いますが、それがまたドラマチックに描かれており…。続きは読んだ人だけのお楽しみということで。

 

近世以降も面白い

中世カタルーニャも魅力的ですが、近世以降のカタルーニャも非常に興味深い内容で書かれています。大航海時代の新大陸進出によるカスティーリャの隆盛とカタルーニャの衰退、世界史で有名な大戦争に巻き込まれて壊滅状態になったと思いきや、そこから盛り返して、スペインで唯一産業革命に成功したりなど、中世以外でもドラマチックなカタルーニャが描かれています。また、近年の独立運動についても言及されており、自分で調べて分からなかった独立運動の細かな経緯や登場人物などが分かりやすく書かれています。

 

編集後記

私は学生時代に西洋史を概説レベルで学びましたが、カタルーニャについてはほとんどノータッチでした。強いて言えば、ジョージ・オーウェル著の『カタロニア讃歌』という書籍を知っているというレベルでした。世界史Bで見かけた記憶があるくらいで、それがカタルーニャの事を指していると言う認識はありませんでした。

カタルーニャという名前が日本で知られるようになったのが、2014年に発生したカタルーニャ独立の住民投票でしょうか。日本のメディアもカタルーニャの独立を取り上げてましたが、報道は直ぐに収まりました。まあそんなものです。私もその時はカタルーニャについて調べましたが、独立運動の経緯を調べただけにとどまり、カタルーニャの歴史と言うものをあまり調べていませんでした。

昨年末、本屋で見かけたのが、今回紹介する『物語 カタルーニャの歴史 増補版 知られざる地中海帝国の興亡』という書籍でした。書店をウロウロしていたら、たまたま目にとまりました。通勤中に何回も繰り返し読んでいるので、個人的にお気に入りの1冊です。